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大雪及び寒害に対する農作物・農業用施設の技術対策について

2018.12.28

農業技術振興センター農業革新支援部

Ⅰ.事前の対策

共通事項

1 融雪水が流入したり、たん水しないように施設やほ場周辺に排水溝を手直しする。

2 予め除雪計画を立て、除雪作業に支障となるものは移動させる。

 

農業用ハウス

 初雪時はハウスの被覆材が土埃等により汚れており、天井に積もった雪が落ちにくくなっているので、下記の対策を実施しましょう。

1 積雪による被覆資材のたわみが雪の滑落を妨げるため、適切な展張となるよう取り付金具の調整等を行う。

2 被覆の外部に設置したネットや遮光資材は、雪の滑落を妨げるため撤去する。

3 積雪により負荷のかかる箇所を支柱や筋交い等で補強する。

4 ハウスの補強資材や固定部品にゆるみがないか点検する。

5 暖房機を点検するとともに、燃油残量を確認し必要に応じて補給する。

6 除雪作業により燃料パイプなどが損傷しないようカバー等で保護する。

 

麦類

 排水溝の崩れやゴミ等による詰まりがないか点検し、速やかに排水するように手直しを行う。

 

野菜

 小型トンネルは被覆資材を外し、べたがけ資材を被覆し、積雪による痛みや凍害による被害を緩和する。

 

花き

 枝物類では、枝の折損及び倒伏等の恐れがあるので、幹の支柱や枝に添木等を行う。

 

果樹

1 多目的防災網や防鳥網を展張してある園では、積雪による施設及び樹体の被害を回避するため、早急に取り除くか、棚上になるべく小さくしてくくりつける。

2 果樹棚や支柱を補給する。

3 立木仕立てで雪が枝に積もり、枝の折損や裂傷が予想される場合は、支柱等で補強する。

 

1 寒冷紗等の直がけ被覆により寒害および寒風害を和らげる。

2 また、寒風対策として防風ネットを設置する(ネットの高さの5倍程度(ネットの高さが2mの場合10m程度の範囲の効果が期待できる)。

 

畜産

1 ハウス式の畜舎や糞尿処理施設等は、降雪の重さで倒壊しないよう支柱や筋交い等による補強を行う。また、破損箇所がある場合には補修を行い、強度を高めておく。

2 大雪が予想される場合は、畜舎周辺の除雪作業がしやすいよう除雪作業に支障になるものは事前に移動しておく。

3 降雪による物流の障害に備えて、飼料や燃料等の在庫を確認し、必要量を備蓄しておく。

 

Ⅱ.降雪時の対策

共通事項

 降雪中や降雪後は人命を最優先とし、大雪で施設倒壊が危惧される場合には、施設内には立ち入らない。

1 融雪水が流入したり、たん水しないように施設やほ場周辺に排水溝を設置する。

2 施設の破損、倒壊等が生じ被害が軽微であった場合には、早急に修復を行い、施設内温度の確保に努め、低温による栽培作物の生育障害・枯死等の被害を防止する。

3 一部損壊を受けた施設内の作物はトンネルやべたがけ等で被覆し、保温する。

4 積雪により停電が発生する恐れがあるため、電源や設備の状態に注意する。

 

農業用ハウス

1 「加温設備のあるハウス」では、カーテンを開け、暖房機を運転してハウス内の暖気を拡散し、屋根や谷部の融雪を促進する。

2 「加温設備のないハウス」では、カーテンを開放し、地熱の放射により、融雪を促進する。

3 雪が積もったら、速やかに雪下ろしや除雪を行う。

4 ハウスサイドの積雪が多くなると、屋根と雪のつながり雪が落ちなくなるため、ハウスサイドの除雪を行ってから上部の雪を下ろす。

5 積雪が偏るよ、荷重バランスが崩れ倒壊の危険が増すため、ハウスの両側から均等に除雪する。

6 除雪の際には、電気配線や燃料の配管を傷つけないように注意する。

 

 麦類

 融雪水がほ場に滞水すると湿害が発生するため、速やかに排水対策を講じる。

 

野菜

1 施設栽培の果菜類

 (1)ハウス周辺に雪が積もりハウスサイドが開けられない状態で天候が回復すると、葉や果実に日焼けを生じることがあるので、開放できるドアや妻面換気口を開けて換気を行い、温度管理に注意する。

 (2)除雪に伴い日照不足による草勢低下が心配されるため、摘葉を控えるなど、葉面積を確保して草勢を維持する。

 (3)湿度が上昇し病気が発生しやすくなるので、湿度に注意するとともに薬剤散布を行う。

2 トンネル栽培

 (1)茎葉が損傷した場合、収穫・出荷に当たっては、丁寧に調製を行って品質保持に努める。

 (2)雪解け後は、病気が発生しやすく、早期に薬剤散布を行う。

3 露地栽培

 (1)ダイコンやキャベツ、ハクサイ等は、雪に埋もれても凍害を受けることは少ないので、そのままの状態で保持する。

 (2)雪解け水による湿害を受けないように排水溝の点検や溝さらえ等の排水対策を講じる。

 (3)雪解け後は、病気が発生しやすいので、早期に薬剤散布を行う。

 

花き

1 ハウス周辺に雪が積もりハウスサイドが開けられない状態で天候が回復すると、花や葉に日焼けを生じることがあるので、開放できる妻面換気口を開けて換気を行い、温度管理に注意する。

2 降雪や積雪等で日照不足となり草勢低下や病害が心配されるため、液肥や病害虫防除をして草勢を回復するよう管理する。

 

果樹

1 積雪による枝葉の折損、下垂を防ぐため、できるだけ雪を落とす。

2 枝折れ等が発生した場合は、樹体の損傷程度に応じて、折れているところで切り直し、ゆ合剤をを切り口に塗布したり、テープを巻くなどして損傷部のゆ合を図るとともに、病害の適切な防除を行う。

 

畜産

1 畜舎の換気をよくするため換気扇、窓の開閉をこまめに実施して、生産性の低下を軽減する。

2 重機による除雪作業は、周囲の安全に十分配慮して行う。

3 古い畜舎や倉庫等は過度の降雪により倒壊する恐れがあるため、異音等がないか巡視を強化し、異音等が聞こえた場合は直ちに避難する。

 

◎農薬はラベルに記載されている適用作物、使用時期、使用方法等を十分確認の上、最終有効年月までに使用してください。